私は、「自己責任」や「勝ち組・負け組」という言葉があまり好きではない。
これらの言葉には、どこか応報論的な響きがあり、人への温かみを感じにくいからである。
実を言うと、私自身は決して地頭が良い方ではないと思っている。不器用で小心者でもある。
もちろん、自分が成功者だとも思っていない。しかし、振り返れば、運と努力に支えられながら何とかここまで歩んでくることができた、というのが率直な実感である。
私は、人生の成功には「運」が大きく作用していると思う。
どれほど実力があり、どれほど条件が整っていても、運が味方してくれなければ物事が思うように進まないことがある。逆に、大切な局面で良い流れに乗ることができれば、その後の人生が大きく開けることもある。
人生は、ほんの一つの歯車のかみ合わせで大きく変わる。
だからこそ、「私如きが」という謙虚さと、良い意味での冷静さを持ち続けることは大切ではないだろうか。
そして、人には誰しも何らかの「天分」があると思う。
勉強が得意な人もいれば、人をまとめることに長けた人もいる。人の気持ちを汲み取ることが上手な人もいれば、黙々と物事を積み上げることに優れた人もいる。
大切なのは、他人と比較して優劣を競うことではなく、自分に与えられた天分を見つけ、それを活かすことではないだろうか。
人生の成功と失敗は、案外紙一重である。
だから私は、今でも「自己責任」や「勝ち組・負け組」という言葉に違和感を覚える。
人にはそれぞれの事情があり、それぞれの運命がある。そして、それぞれに与えられた天分がある。
そのことを忘れずに生きていきたいと思う。

