何の資格者というより、何ができるかのほうが大切

コラム

ここ最近の生成AIの急速な普及は、法律職や税務職をはじめとする国家資格者の業務にも大きな影響を与えつつある。

これまで専門家が行ってきた定型的な法務事務や税務事務の一部については、生成AIが文書のひな型を作成したり、キーワードを入力するだけで一定水準の文章を作成したりできるようになった。もちろん、生成AIを有効に活用するためには、適切な指示(プロンプト)を与える利用者側の能力も求められる。しかし、技術の進歩によって専門知識へのアクセスが格段に容易になったことは間違いない。

特に影響を受ける可能性が高いのは、司法書士、行政書士、税理士など、比較的定型化された書類作成や手続業務を多く扱う資格者ではないだろうか。

さらに言えば、生成AIは相談者だけが利用しているわけではない。実際には、多くの士業者自身も業務の効率化や情報収集のために生成AIを活用している。つまり、生成AIは専門家の代替ではなく、専門家を含めた誰もが利用する時代の道具になりつつあるのである。

また、政府によるデジタル化の推進やオンライン手続の普及も見逃せない。行政機関への電子申請が広がり、ITリテラシーの高い人であれば、自ら情報を収集し、手続を完結できる場面も増えている。こうした流れは、従来の士業独占業務の在り方にも少なからず影響を及ぼしていくだろう。

だからこそ、これからの時代に問われるのは、「何の資格者であるか」だけではない。

重要なのは、「何ができる人なのか」「どのような課題を解決できる人なのか」である。

資格は信頼性を担保する重要な基盤ではある。しかし、それだけで選ばれる時代は終わりつつある。依頼者が求めているのは資格そのものではなく、自分の悩みや課題を解決してくれる存在だからである。

これからは、「何の国家資格者か」よりも、「何を設計できる人か」「どんな価値を提供できる人か」が、ますます重要になる。

資格の看板だけに頼るのではなく、自らの専門性を磨き続け、提供価値を明確に示せる人こそが、AI時代においても選ばれる専門家であり続けるのではないだろうか。

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