こんにちは。エメラルドビュー事業承継設計支援事務所 所長、事業承継士®︎・後継者育成講師の今井です。
最近、ビジネスの現場や専門家の世界を眺めていると、ふと江戸時代の風刺的な言葉を思い出すことがあります。それが「股座膏薬(またぐらごうやく)」と「半可通(はんかつう)」です。
どちらも少々耳の痛い言葉ですが、事業承継という会社と家族の未来を左右する重要な場面だからこそ、改めて考えてみる価値があるように思います。
「足し算」の発想が生み出す落とし穴
現代のビジネスでは、さまざまな資格や肩書き、流行のキーワードを身につけることが評価される場面もあります。それ自体は決して悪いことではありません。
しかし、肩書きや知識を増やすことが目的になってしまうと、本来最も大切な「何を実現したいのか」という軸が見えにくくなることがあります。
江戸時代には、あちらこちらへ貼り替えられる膏薬になぞらえて、そのような節操のない振る舞いを「股座膏薬(またぐらごうやく)」と表現しました。また、知識を少しかじっただけで物知り顔をしてしまう人を「半可通(はんかつう)」と呼びました。
もちろん、多くの知識を持つこと自体は大切です。しかし、本当に求められるのは知識の量ではなく、それらを本質的な価値へと結び付ける思考力ではないでしょうか。
資格は専門性を証明する大切なものです。一方で、「資格そのもの」が価値なのではなく、「資格を通じてどのような価値を提供できるか」が、より重要なのだと私は考えています。
一芸を磨き、全体を見渡すという考え方
複数の専門分野に精通することは素晴らしいことです。
ただ、それぞれの制度や責任範囲には異なる考え方があり、それらを一人で抱え込もうとすると、かえって判断が複雑になってしまう場面も少なくありません。
だからこそ、自らの専門領域を徹底的に磨きながら、必要な場面では各分野の専門家と力を合わせる。そのほうが、結果としてクライアントにとって最良の成果につながることも多いのです。
「何でも一人でできる人」より、「最適なチームを設計できる人」。
私は、その違いが非常に大きいと考えています。
求められるのは、道具ではなく「設計図」
優良企業のオーナー経営者の皆様は、長年さまざまな修羅場を経験されてきました。
だからこそ、名刺に並ぶ肩書きの数ではなく、「この人は本当に自社の未来を考えてくれる人なのか」を見極める目をお持ちです。
経営者が人生の総決算として本当に求めているのは、個々の専門知識を並べることではありません。
税務、法務、登記、組織、人材育成──それぞれの専門性をオーケストラのように調和させ、会社と家族の未来を一本の美しい線で結ぶ「全体最適の設計図(グランドデザイン)」です。
「引き算の美学」という選択
だからこそ、当事務所は「引き算の美学」を大切にしています。
法務・税務・登記などの専門実務は、それぞれの分野に精通した信頼できる国家資格者の皆様と緊密に連携しながら進めてまいります。
私は、下流工程の実務を競うのではなく、高い視座(エメラルドビュー)から全体を俯瞰し、事業承継全体を設計する「ハブ」としての役割に専念します。
それぞれの専門家が持つ強みを最大限に生かし、一つのチームとして最適な事業承継を実現すること。それこそが、私の使命だと考えています。
未来を「エメラルドビュー(澄み渡る見通し)」に
テクノロジーがどれほど進歩しても、人と人との信頼関係や対話から生まれる安心感は、決して置き換えられるものではありません。
私はこれからも、既存の枠組みにとらわれない柔軟な思考を磨き続けるとともに、一般社団法人事業承継協会の理念と、全国の信頼できる専門家との連携を大切にしながら、経営者の皆様に最適な事業承継の設計図をご提案してまいります。
肩書きの多さではなく、本質を見据える視点。
知識の量ではなく、それらを未来へつなぐ設計力。
そんな「エメラルドビュー(澄み渡る見通し)」を、皆様とともに描いていければ幸いです。

