この世の中は人の悪口を言わない修行

コラム

日々、多くの経営者様や後継者の方々と向き合い、会社の未来をデザインする「事業承継」の現場に身を置いていると、つくづく痛感することがあります。それは、事業承継の成否を分ける根底にあるのは、高度な法務や税務のテクニックだけでなく、最後は人と人との「心の通い合い」であり、そこを流れる「言葉の質」だということです。

先代と後継者、あるいは経営陣と社員。互いの立場や世代が違えば、時に思い通りにいかない現実に直面し、ついつい愚痴や他人の批判が口を衝いて出そうになることもあるかもしれません。

しかし、私はこれまでの経験を通じて、一つの確固たる真理にたどり着きました。それは、

「この世の中は、人の悪口を言わないための修行の場である」

ということです。

私たちはつい、不満を言葉にして吐き出すことで発散したような気になりますが、それは大きな錯覚です。他者への批判やネガティブな言葉というものは、発した分だけ、いずれ巡り巡って自分自身でその苦い結果を「刈り取らなきゃいけなくなる」もの。言葉は出したエネルギーのまま、確実な因果となって自分に返ってきます。

これは、企業ガバナンスや組織のリーダーシップにおいても全く同じです。 トップや後継者が発する何気ない一言、他者への批判や後ろ向きな言葉は、組織全体の空気を澱ませ、巡り巡って会社の求心力を低下させるという「手痛いコスト」となって自社に跳ね返ってきます。

だからこそ、私たちは視点をガラリと変える必要があります。 「この世は、悪口を言わないための修行なのだ」と。

そう腹に落とすことができた瞬間、目の前の景色はパッと良い方向へ変わり始めます。他人の嫌な部分や、組織の課題が見えたときすら、「おっと、これは私の器を広げるための修行のチャンスだな」と、一歩引いて冷静に、そしてメロウに受け止める余裕が生まれるからです。

他人のアラを探してエネルギーを浪費するのをやめ、今日から目の前の人の良いところを見つけ、言葉にして褒める。それこそが、企業の中に、あるいはご家族の間に、未来の繁栄という名の「幸せの種」を蒔くという行為にほかなりません。

後継者育成の場でも、私はいつも「リーダーの言葉選びの大切さ」を熱くお伝えしています。 言葉が変われば、心のあり方が変わります。心のあり方が変われば、引き寄せる未来も、そこに集まる人財も劇的に変わっていきます。

会社の歴史と未来を繋ぐ大切なステップのなかに、ぜひ温かい言葉の種まきを組み込んでみてください。皆様の挑戦と確かな事業承継の道のりを、これからも全力で応援しております。

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