いわゆる「八士業」とは?

コラム

私たちがビジネスや日常生活の中で法的・専門的な手続きに直面したとき、頼りになるのが「〇〇士」と呼ばれる専門職の方々です。その中でも、特に戸籍謄本や住民票などの職務上請求を行う権限(職権請求)が認められている代表的な8つの国家資格を、業界では「八士業(はちしぎょう)」または「サムライ業」と呼びます。

今回は、この「八士業」の概要と、彼らに与えられている「特権」の重要性について解説します。

■ 「八士業」に該当する8つの職業

名前に「士」の漢字がつく資格は数多くありますが、いわゆる八士業に数えられるのは以下の8職種です。

  1. 弁護士(訴訟手続きなどの法律事務全般)
  2. 司法書士(登記手続きや裁判所提出書類の作成)
  3. 行政書士(官公署に提出する書類や権利義務に関する書類の作成)
  4. 土地家屋調査士(不動産の表示に関する登記や土地の測量)
  5. 税理士(税務申告や税務相談)
  6. 弁理士(特許や商標など知的財産に関する手続き)
  7. 社会保険労務士(労働・社会保険の手続きや労務管理)
  8. 海事代理士(海事関係の行政手続きや書類作成)

これらはすべて国家資格であり、多くの場合、それぞれの専門領域を監督する省庁が定められています。

■ 八士業に共通して認められた「特権」とその重み

これら8つの職業には、業務を円滑に遂行するための強力な共通の権利が認められています。それが、「職務上必要な場合に、第三者の戸籍謄本や住民票の写しなどを請求・取得できる権限」です。

例えば、相続人の特定や、契約書作成における身元確認など、正当な業務のためには不可欠な権限です。しかし、この権限は裏を返せば「他人の極めてプライベートな情報にアクセスできる」という非常に強い特権でもあります。

■ 信頼の裏返し:特権に課される重い倫理責任

この強い特権が与えられているからこそ、士業には一般の職業以上に厳しい倫理観と誠実さが求められます。過去には、一部の専門職が私的な身元調査などの目的でこの権限を悪用し、業務停止処分を受けるといった残念な不祥事も報道されています。

不正を防ぐ防衛策として、第三者が戸籍謄本等を取得した際に本人へ通知が行く「本人通知制度(事前登録型)」を導入する自治体も増えていますが、そもそも専門職への「高い信頼」が前提となって成り立っている特権であることを、私たち専門家自身が強く自覚しなければなりません。

■ まとめ

「八士業(サムライ業)」は、それぞれが高度な専門性を持って依頼者のために業務を行っています。彼らが持つ強力な職務上請求の権限は、社会の秩序と円滑な法的平等を守るための「預かりもの」です。

ビジネスで専門家を活用する際、あるいは自身がその一翼を担う際には、その資格の重みと背負っている社会的責任の大きさを、今一度再認識しておきたいものです。

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