梅雨から初夏へ。
湿度が少しずつ高くなり、風までぬるく感じる季節になると、決まって思い浮かべるカクテルがある。
「フローズンダイキリ」である。
クラッシュアイスをたっぷり使い、ホワイトラムとフレッシュライム、そして少量のシュガーをミキサーで一気に撹拌する。
グラスに注がれた瞬間、きめ細かな氷が山のように盛り上がり、口に含めばライムの爽やかな酸味とラムのやわらかな香りが、火照った身体をゆっくりと冷ましてくれる。
このカクテルには、どこか映画のワンシーンのような情景がよく似合う。
海を見下ろすテラス。
夕陽に照らされて輝くエメラルドブルーの海。
風を受けながら静かに進む白いヨット。
そして、白いリネンシャツの男性と赤いワンピースの女性が、言葉少なにグラスを傾ける。
そんな情景を思い浮かべるだけで、心はすでに旅先へと向かっている。
実際には近所のバーでも、自宅のベランダでも構わない。
一杯のカクテルには、不思議なくらい景色を変えてしまう力がある。
今年の夏も、最初の一杯はやはりフローズンダイキリでありたい。
グラスの向こうにカリブの風を感じながら、ゆっくりと夏の始まりを味わいたいものである。

