行政書士はCADスキルあったほうがいい

コラム

「行政書士にCAD(図面作成ソフト)なんて必要なの?」

そう思われる方も多いかもしれない。しかし、許認可法務の現場を少しでも走ったことがある実務家なら、この問いに対して迷わず頷くはずだ。

結論から言いたい。行政書士は、CADスキルがあったほうが絶対にいい。それも「ちょっと触れる」レベルではなく、実務でサクッと図面を起こせるレベルであれば、それだけで他事務所と一線を画す強力な武器になる。

  1. 許認可の現場は「図面」の連続である

許認可業務の世界は、文章や申請書(活字)だけで完結することは滅多にない。

・建設業の営業所・店舗の平面図やレイアウト ・風営法(キャバクラ・パチンコ・バー等)の店舗求積図・音響照明配置図 ・産業廃棄物処理業の保管施設・駐車場配置図 ・農地転用・開発許可の土地求積図・位置図 ・ドローン飛行許可の飛行経路・エリア図

行政に提出する書類の背後には、常に「空間を証明する図面」がセットで要求される。

一般的な行政書士の場合、手書きで敷地や店舗を描いて定規で測るか、Excelのセルを細かく区切って方眼紙のようにして描くケースが今でも少なくない。あるいは、図面作成だけを外部の設計事務所やCADオペレーターに外注する。

だが、もし行政書士自身がCADを扱えたらどうなるか?

手書きの拙さやExcelの限界に頭を悩ませることもなく、外注コストや納期に振り回されることもない。「現地調査〜寸法計測〜CADでの作図〜申請書への落とし込み」までを一気通貫・最速で完結させることができるのだ。

  1. 「図面が描ける」ことが生む圧倒的な信頼

建設会社の社長や、店舗をオープンさせるオーナー、不動産業者と打ち合わせをする場面を想像してほしい。

彼らは日常的に図面(設計図・CADデータ)を見慣れている「現場のプロ」だ。

そこで行政書士が「あ、図面は描けないので外注しますね」と言うか、あるいは「CADで正確な平面図・求積図を起こしておきますので、既存のDXFデータがあれば共有してください」と言えるか。

この差はあまりにも大きい。

CADが扱えるというだけで、クライアントからは「現場の構造や実務が分かっている行政書士」として一目置かれる。単なる「書類の代筆屋」ではなく、現場の言語(図面)が通じるプロフェッショナルとして、圧倒的な安心感を与えることができるのだ。

  1. 「事業承継」や「都市開発」の現場でも効いてくるCADスキル

CADスキルの真価は、単なる店舗の許認可にとどまらない。

例えば、建設業や運送業の事業承継(法人成りや事業譲渡・M&A)の現場。 会社の事業を丸ごと引き継ぐ際、既存の営業所や保管施設が現在の許認可要件を満たしているか、図面レベルで再検証・再取得する必要が必ず出てくる。

また、都市開発や権利調整に関わる大型案件であれば、土地の境界や各種法規制の網掛けを把握し、関係各所(自治体・ゼネコン・地権者)と協議する上で、正確な図面をベースに議論できるスキルの有無が成否を分ける。

許認可という「現在の守り」から、事業承継という「未来の継承」までを繋ぐプロセスにおいて、CADで正確な事実を可視化できる技術は、法務コンサルティングの精度を極限まで高めてくれる。

おわりに

行政書士の本質は「行政と事業者との間にある複雑なハードルを解きほぐし、事業の継続と発展を支えること」にある。

そのハードルを乗り越えるための手段として、「法律の知識」と同じくらい強力なツールになるのが「空間を正確に描く技術(CAD)」だ。

「書類が作れる行政書士」はごまんといる。 しかし、「法務が解かり、図面(CAD)が描け、事業の未来(承継)まで見通せる行政書士」は、そうそういない。

だからこそ、腹を括って現場に立つ実務家ほど、CADという刀を研いでおくべきなのだ。

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